こんにちは、あのぶるです。
現実を見つめてばかりだと疲れてしまう毎日が続いていますので、今回は現実逃避をしましょう。

洋の東西を問わず、プログラマなどいわゆる理系分野の人というのはフィクションではなぜか感情の起伏がない無機質な性格かマッドサイエンティスト的な人物像かの両極端に描かれがちなのですが、実際のところ全くそんなことはなく様々な人がいる、というのはみなさんよくご存知だと思います。
もちろんコンピュータ分野にも面白いことが好きな人はたくさんいて、技術ドキュメントにもユーモアが見え隠れしています。ジョークRFCはその中でも有名どころの一つです。インターネットで通信をするための仕様などを定義するドキュメント群であるRFC(JPNICによる解説)がエイプリルフールにほぼ毎年ジョーク文書を公開しているのですが、その中でもおそらく一番有名なのはHyper Text Coffee Pot Control Protocolに関するRFC2324 (日本語訳)かなと思います。これは文字通りコーヒーポットを制御する通信仕様に関する文書で、ジョークにも関わらずこのプロトコル自体は実装が可能な上、後年(勿論ジョークRFCとして)仕様のアップデートも行われるなど、インターネット技術をリードする人たちによる「大真面目にふざける」様子を見ることができます。
(ちなみに、実際に大学の研究テーマとしてHTCPCPを実装したコーヒーメーカーが試作されたこともあるそうです)

ユーモアの現れ方の一つとして、フィクションからの引用もよく見かけます。例えば“Yoda Style(ヨーダ記法)”と呼ばれるコードの書き方があるのですが、これはスター・ウォーズの登場人物であるヨーダが独特の語り口で話すことを由来としているものです。
また以前の記事で紹介したとおり、sudoコマンドを初めて使用する時に表示されるメッセージの一部もスパイダーマンの台詞から引用されていたり、スタートレックの”Vulcan salute(ヴァルカン式挨拶)”の手の形🖖がそのままUnicodeの絵文字として採用されていたりもします。(Unicodeドキュメントの説明にもそのまま”Vulcan salute”と記載されています)
コンピュータやインターネットはアメリカを中心に発展しているため、自ずとアメリカや英語圏の文化が色濃く出るようです。

また日本国内でもこのような喩えは多く使われていて、日本では比較的漫画やアニメ、ゲームからの引用が多い印象です。例えば日本を代表するRPGシリーズのひとつ、ドラゴンクエストの”職業”になぞらえて個人やチームのスキルを俯瞰する手法においても「ものごとを楽しく理解し、使いこなす」ことを目的として引用されています。

このようなユーモアはTPOをうまく見極めて使う必要のあるものです。登壇するときなど話のスパイスとしてうまく利用できると、聞く側も楽しめて印象に残りやすいのである程度発表に慣れた人向けのテクニックとも言えます。使う時は「聞き手に”元ネタ”を共有できているか、分からなくても内容を十分理解できるように話を組み立てられるか」「特定の属性の人を揶揄するなど、誰かを不快にさせるものではないか」の2点には必ず気を配ってください。それから勿論大前提として、著作権や肖像権をはじめとした、誰かの権利を侵害しないように十分気をつけてください。かく言う筆者も喩えが悪く場を「?」で埋め尽くした苦い経験があるのですが、特に年代など大きくバックグラウンドが異なる相手やカンファレンスのような幅広い層に届ける必要がある場合はさらに難易度が高くなることに注意しましょう。

もし興味があれば、紹介したジョーク文書や”元ネタ”として引用元になっている作品に触れるのもプログラマ文化に親しむひとつのきっかけになるんじゃないかなと思います。ジョークRFCはインターネット上で無償公開されていますし、映像作品は動画配信サービスでの見放題やレンタルもかなり充実してきましたので、Stay Homeな大型連休にもぴったりですね。是非楽しんでください!


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あのぶる

Software Engineer
杜の都で育ち、赤べこの街でコンピュータのいろはを学んだソフトウェアエンジニア。今はスマホゲームのためのWebAPIを作るお仕事をしています。最近はすっかりガルパンおじさん化。

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